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ばあちゃんが死んだ。

今日は仕事終わりに太ったおじさんとデートをした。話を聞いてもらっておごってもらって、帰り道の途中まで送ってもらった。家についてから別の男にそのデートの顛末を話していたら母親から連絡が来た。

前に父方のばあちゃんが死んだときはおっさんのセフレと朝からセックスをしていた。中年といちゃついていると祖母は死ぬ。

 

母のメールに、来道はご遠慮くださいと書いてあり意味がわからなかった。私が葬式のために帰省することを「来道」と言うらしい。3.11の直後、既に上京が決まっていたわたしに行かないでと言ったばあちゃんが、ついに死んだ顔を見に帰ることを許してくれなかった。世知辛い。きっと北海道のローカルテレビ局では道外の人間が北海道にやってくることを「来道」と言い、リスクのあるものとして語っているんだなと思った。

 

今日デートしたおじさんは、アヤちゃんは好きにしていいから、良かったらまた会って、と言った。ばあちゃんは遊びに行くたびにあやちゃん、すいみつ食べるかい、と言った。

 

ばあちゃんからは足腰の強い女とよく笑う女の良さを教わった。わたしは足腰の強さと笑った顔には自信がある。教わるものはもう何もない。死んだ実感もない。

 

母からの連絡がもう少し早ければ、途中まで送ってくれているおじさんをホテルに連れ込むことが出来たのに。そうしたら、寂しくなかったのになと思ったよ。

 

帰りに本屋に寄って、男におごってもらって浮いたお金で「女帝小池百合子」を買いたかったのにあいにく売ってなかった。

 

大野